
WebサイトのSEOを考えるうえで避けて通れない「重複コンテンツ」問題。検索エンジンは同一または類似するページが複数存在すると、どのページを評価すべきか判断できず、SEOパフォーマンスの低下を招くことがあります。そこで活躍するのが「canonicalタグ」です。この記事では、canonicalタグの基本と正しい使い方、具体的な設置例を交えて丁寧に解説します。
目次
canonicalタグとは?
canonicalタグとは、HTMLの<head>
内に記述して「このページの正規版はこのURLです」と検索エンジンに伝えるためのタグです。検索エンジンはこの指定に従って、評価対象とすべきURLを判断します。
<link rel="canonical" href="https://example.com/page/" />
このように書くことで、検索エンジンはそのページを正規ページとして扱い、それ以外の重複ページは評価の対象外にします。
canonicalタグを使うべきケースと具体例
1. URLパラメータによる重複(ソート順・表示件数・フィルタリング)
ECサイトや検索ページでは、ソート順や表示件数、商品フィルターの条件によって、異なるURL(パラメータ付きURL)が多数生成されることがあります。
例:
- https://example.com/products?sort=asc(ソート順:昇順)
- https://example.com/products?limit=20(表示件数:20件)
- https://example.com/products?brand=nike(ブランドで絞り込み)
- https://example.com/products (デフォルト表示)
これは基本的に同じコンテンツを表示しているため、以下のように正規URLを指定するのが望ましいです。
<link rel="canonical" href="https://example.com/products" />
ただし、特定のフィルター条件で表示されるページに独立したSEO的価値(明確な目的・検索ニーズ)がある場合は、自己参照canonicalを設定し、そのページを検索エンジンにインデックスさせる選択も有効です。
たとえば、以下のようなケースが該当します:
- 「ナイキ製の黒いスニーカー」のように、特定のブランド+カラーの組み合わせで検索需要が明確に存在する場合
- 特定のフィルタ結果に対して、ページタイトル・メタディスクリプション・説明文などを最適化しており、独自のコンテンツ性がある場合
このようなページでは、次のように自己参照canonicalを設定することで、そのページが重複扱いされず、独立した検索評価を得られる可能性があります:
<link rel="canonical" href="https://example.com/products?brand=nike&color=black" />
2. ページネーションされたコンテンツ
長い記事や商品一覧を複数ページに分けて表示する場合、どのページを正規URLとするかを明示する必要があります。
パターンA:1ページ目を正規URLとする
全体を1つのコンテンツとして検索エンジンに評価させたい場合:
<link rel="canonical" href="https://example.com/blog/article" />
このタグを2ページ目以降にも記載します。
パターンB:各ページを独立して評価させたい場合
各ページの内容が大きく異なり、検索意図やキーワードが異なる場合は自己参照canonicalを使用します。
たとえば以下のようなケースが該当します:
- 長編コンテンツを「第1章」「第2章」「第3章」として分けて公開しており、それぞれが異なるテーマやキーワードを含んでいる場合
- 「地域別イベント情報」などで、ページ2が「大阪開催分」、ページ3が「福岡開催分」として内容が大きく異なる場合
- ECサイトにおいて、ページ1が「全商品一覧」、ページ2が「セール品」、ページ3が「在庫限り商品」として構成されている場合
このような場合は、各ページを独立したコンテンツとして検索評価させる意図で、以下のように自己参照canonicalを設定します。
<link rel="canonical" href="https://example.com/blog/article?page=2" />
加えて、以下のようにrel="prev"
/ rel="next"
を併用すると、ページ構造の把握がより正確になります。
<link rel="prev" href="https://example.com/blog/article?page=1" />
<link rel="next" href="https://example.com/blog/article?page=3" />
3. トラッキングやキャンペーン用のURL
広告リンクやメールマーケティングなどで、トラッキング用のパラメータが付いたURLが生成されることがあります。
例:
このようなURLでは、パラメータなしの正規URLをcanonicalで指定することで、SEO評価を集約できます。
<link rel="canonical" href="https://example.com/item/abc123" />
4. 印刷用ページやAMPなどの代替ページ
レイアウトや形式が異なるだけで内容が同じである場合も、canonicalを使って本来のページを明示します。
例:
<link rel="canonical" href="https://example.com/page/" />
AMPページには、canonicalタグとrel="amphtml"
の両方を使って相互リンクを構成します。
WordPressでcanonicalタグを設定する方法
WordPressでは、Yoast SEOやAll in One SEO Packなどのプラグインを使えば、canonicalタグは基本的なページに対して自動的に出力されます。
ただし、canonicalタグの適切な設定にはページの意図やコンテンツの重複状況を人間が判断する必要があり、プラグインの自動出力だけでは対応しきれないケースもあります。
特に、条件によって表示内容が大きく変わるカスタム投稿タイプや、動的なクエリを含むページでは、手動でcanonicalタグを出力することが望ましいです。たとえば、以下のように記述できます。
add_action('wp_head', function () {
// 投稿・固定ページ・カスタム投稿タイプの詳細ページ
// 自己参照canonical(パラメータ付きアクセスを正規化)
if (is_singular()) {
echo '<link rel="canonical" href="' . get_permalink() . '" />';
}
// カテゴリーページ(1ページ目、およびページング)
elseif (is_category()) {
echo '<link rel="canonical" href="' . get_category_link(get_queried_object_id()) . '" />';
}
// タグページ(1ページ目、およびページング)
elseif (is_tag()) {
echo '<link rel="canonical" href="' . get_tag_link(get_queried_object_id()) . '" />';
}
// カスタムタクソノミー(1ページ目、およびページング)
elseif (is_tax()) {
echo '<link rel="canonical" href="' . get_term_link(get_queried_object()) . '" />';
}
// 投稿一覧ページ(ホーム)のページング対応
elseif (is_home() && is_paged()) {
echo '<link rel="canonical" href="' . home_url('/') . '" />';
}
// カスタム投稿タイプのアーカイブ+ソート付き(例:products?sort=new)を統一
elseif (is_post_type_archive('product') && isset($_GET['sort'])) {
echo '<link rel="canonical" href="' . get_post_type_archive_link('product') . '" />';
}
});
canonicalタグ使用時の注意点
- すべての重複URLにタグを設置すること:1ページだけでなく、重複しているすべてのURLにcanonicalタグを記述する必要があります。
- 自己参照canonicalの徹底:正規URLそのものにも、自身を指すcanonicalを明示しておくことが推奨されます。
- クロスドメインcanonicalは慎重に:ドメインが異なるページ間でcanonicalを使用する場合は、適切な技術的検証が必要です。
まとめ:canonicalタグで重複コンテンツを正しく制御しよう
canonicalタグは、重複コンテンツによるSEO評価の分散を防ぐ強力な手段です。特にECサイトや動的URLが発生しやすいメディアでは、意図しない評価の低下を防ぐために不可欠な対策です。自動生成されたURLや複数の導線があるページでは、正しいcanonicalの設定を心がけましょう。

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