ブラウザのデベロッパーツール(Chrome DevTools)を使った効率的なバグ調査方法

Web開発においてバグの特定と修正は日常茶飯事ですが、その効率を大きく左右するのが「Chrome DevTools(デベロッパーツール)」です。本記事では、開発者にとって欠かせないこのツールの基本的な使い方から、実践的なバグ調査テクニックまで、具体例を交えて解説します。
目次
要素の構造とスタイルの確認(Elementsパネル)
HTML構造とCSSスタイルの確認はバグ調査の第一歩です。
基本操作
Elements
パネルで該当要素をクリックすると、右側にCSSが表示されます。:hover
などの擬似クラスも[ :hov ]
ボタンで手動適用できます。
よくある調査例
<div class="button">クリックしてね</div>
ボタンのデザインが崩れている場合:
.button
クラスにmargin
が効いていない →!important
が競合している?- 階層構造で
overflow: hidden
が影響していないかチェック
コンソールでエラーを確認(Consoleパネル)
Console
パネルは JavaScript のエラー発見に欠かせません。
よくある表示
Uncaught ReferenceError
TypeError: Cannot read properties of null
Mixed Content: The page at...
効率的な使い方
- エラー行をクリックすると対象のスクリプトへジャンプ
console.log()
で変数や関数の値を出力し、流れを追跡
console.log('クリックされたID:', elementId);
ネットワーク通信を調べる(Networkパネル)
API通信の不具合は Network
パネルで確認しましょう。
調査ポイント
- ステータスコード(200/404/500など)
- レスポンスボディの中身
- リクエストヘッダーと送信データ
例:fetchでデータが取得できない
fetch('/api/data')
.then(res => res.json())
.then(data => console.log(data));
→ Network
で 404 Not Found
ならURLミス、CORS
エラーならサーバー設定を要確認。
ブレークポイントで処理を止める(Sourcesパネル)
Sources
パネルでは JavaScript の任意の行で処理を一時停止できます。
設定方法
- スクリプトを開く
- 行番号をクリックしてブレークポイント設定
- 変数の中身を確認したり、ステップ実行可能
function submitForm() {
const form = document.querySelector('form');
// この行でブレークポイント
form.submit();
}
補足
- 条件付きブレークポイント:右クリック →「条件付きブレークポイント」
- DOM変更ブレークポイント:要素に対して「属性変更時に停止」なども可能
モバイル表示や表示崩れを再現(Device Mode)
画面サイズによるバグ調査は Device Toolbar
を活用しましょう。
使い方
Ctrl + Shift + M
(MacではCmd + Shift + M
)でモバイル表示に切り替え- 特定の機種(iPhone/Pixelなど)や回線速度をシミュレート可能
- 横幅ごとの表示崩れ、メディアクエリの効き具合をチェック
ローカルストレージ・Cookie・キャッシュの確認(Applicationパネル)
Application
パネルでは、状態管理やセッションまわりのバグ調査に使えます。
調査ポイント
- LocalStorage / SessionStorage の内容
- Cookie の有効期限や属性(Secure / HttpOnly)
- キャッシュされているリソースの確認と削除
localStorage.setItem('token', 'abcd1234');
console.log(localStorage.getItem('token'));
まとめ:Chrome DevToolsを使いこなして調査時間を短縮しよう
Chrome DevTools は、HTML/CSS/JS/API通信など多岐にわたるバグの特定に役立ちます。特に以下のようにパネルを使い分けることで、調査がスムーズに進みます。
- Elements:レイアウト崩れの調査
- Console:JSエラーやログ出力
- Network:APIエラーやCORSの確認
- Sources:ステップ実行でバグの流れを把握
- Device Mode:レスポンシブ確認
- Application:状態管理・キャッシュの確認
実際のバグに遭遇したら、ぜひこの記事を参考に「どのパネルで」「何をチェックするか」を意識して効率的に調査を進めてみてください。

Contact
ウェブサイトの制作や運用に関わる
お悩みやご相談
お気軽にお問い合わせ下さい
ウェブサイトと一口に言っても、企業サイトやECサイト、ブログ、SNSなど、その“カタチ”は目的に応じてさまざまであり、構築方法や使用する技術も大きく異なります。株式会社コナックスでは、お客様のご要望やブランドの個性を丁寧に汲み取り、最適なウェブサイトの“カタチ”をご提案いたします。
デザイン、ユーザビリティ、SEO対策はもちろん、コンテンツ制作やマーケティング戦略に至るまで、あらゆるフェーズでお客様のビジネスに寄り添い、成果につながるウェブサイトづくりをサポートいたします。私たちは、ウェブサイトの公開をゴールではなくスタートと捉え、お客様のビジネスの成功に向けて共に伴走してまいります。