Cookie同意とデータ活用を両立するConsent Mode完全解説:GA4・GTM対応ガイド

ユーザーの同意を尊重しつつ、広告やアクセス解析を最大限に活用するための仕組みが「Consent Mode(コンセントモード)」です。この記事では、Cookie同意とデータ活用を両立するためのConsent Modeの仕組み、GA4やGTMとの連携方法、そしてCookie規制への対応としてのメリットをわかりやすく解説します。
目次
日本と海外におけるCookie規制の現状
インターネット上でのプライバシー保護の機運が高まる中、日本および各国ではCookieの取り扱いに関する規制が強化されています。
EU:GDPR & ePrivacy Directive
欧州連合では、GDPR(一般データ保護規則)とePrivacy指令によって、Cookie使用前の明示的な同意取得が義務付けられています。同意がなければ、原則として広告用・解析用のCookieを使用することはできません。
米国:州ごとのプライバシー法
米国では州単位で規制が進んでおり、カリフォルニア州のCCPA/CPRAをはじめとするプライバシー法がCookieに関連する情報の収集と利用を制限しています。
日本:改正個人情報保護法
2022年に施行された改正個人情報保護法では、Cookieなどのオンライン識別子が「個人関連情報」として位置づけられました。日本では、EUのように「Cookieの使用前に明確な同意を取得する」ことが法的に義務付けられているわけではありません。ただし、「個人関連情報(Cookie含む)」を第三者に提供する際に、提供先でその情報が他の情報と結びついて本人が識別される可能性がある場合には、事前の通知や本人同意など、適切な措置を講じることが求められます。
たとえば以下のようなケースでは、個人情報保護委員会からの指導や是正措置の対象になる可能性があります:
- Cookieを通じて取得した情報を第三者に提供する(例:Google広告やアフィリエイト広告など、外部の広告ネットワークに送信してターゲティングや成果測定に利用する場合)
- 他の情報と組み合わせることで個人が特定される可能性がある場合(例:Cookieに含まれる識別子を会員IDやメールアドレスと紐づけてユーザーの行動履歴を特定するケースなど)。
逆に、Cookie情報のみでは個人を特定できず、外部情報とも突合されない設計になっている場合は、法律上の「個人の識別可能性」は低く評価され、規制の対象外となる可能性があります。ただし、Google広告やGTMなどを通じて第三者(Google等)に情報が渡る場合には、識別性の有無にかかわらず一定のリスクを想定して対応することが推奨されます。これは個人情報保護委員会が明確に“義務”として示しているものではありませんが、実務上のリスク回避策として多くの弁護士・専門家・企業が採用している立場です。
このような背景から、日本国内の企業でも自主的にCMP(Cookie同意管理)やConsent Modeを導入し、ユーザーの信頼性向上や法令遵守の対応を進める動きが広がっています。
Consent Modeとは何か?
Consent Modeは、ユーザーがCookieの使用に同意したかどうかに応じて、Googleタグ(例:GA4、Google Ads)が送信するデータの内容や挙動を調整する仕組みです。
たとえば、ユーザーが広告目的のCookieを拒否した場合でも、Googleタグは匿名化された形で必要最小限のデータを送信し、同意が得られたユーザーの行動データと組み合わせてレポートを補完できます。
主要な2つの同意タイプ
ad_storage
: 広告用Cookieの保存と読み取りの可否analytics_storage
: アナリティクス用Cookieの保存と読み取りの可否
// デフォルトのConsent Mode設定例
gtag("consent", "default", {
ad_storage: "denied",
analytics_storage: "denied"
});
GA4やGTMとの連携方法
Consent Modeは、GTMやgtag.jsを使って簡単に導入できます。以下はその基本的な流れです。
1. GTMでの設定例
Googleタグマネージャー(GTM)を使ってConsent Modeを導入するには、以下のステップに従います。
ステップ1:Consent Initializationタグの作成
- GTMの管理画面にアクセス
- 「タグ」 > 「新規」 > 「タグの種類」から「カスタムHTMLタグ」を選択
- 以下のコードを入力:
<script>
gtag("consent", "default", {
ad_storage: "denied",
analytics_storage: "denied"
});
</script>
- トリガーには「Consent Initialization(同意初期化)」を選択(これによりタグは他のタグよりも早く実行されます)
ステップ2:ユーザーの同意取得後にConsent情報を更新
クッキーバナーのクリックイベントなどをトリガーとして以下のようなHTMLタグを作成:
<script>
gtag("consent", "update", {
ad_storage: "granted",
analytics_storage: "granted"
});
</script>
このタグのトリガーには、ユーザーが「すべて同意」などのボタンを押下した際に発火するカスタムイベントや、バナースクリプトのコールバック関数を利用します。
ステップ3:各タグに対して同意ルールを設定
- GA4タグや広告タグを開く
- 「詳細設定」 > 「同意設定」へ進む
ad_storage
やanalytics_storage
に同意した時のみ発火するように設定
これにより、ユーザーの同意状況に応じたタグ発火が実現でき、プライバシーへの配慮とデータ活用の両立が可能になります。
2. GA4(gtag.js)のシンプルな実装例
以下のようにHTMLファイルに記述するだけで、Consent Modeが反映されます:
<script async src="https://www.googletagmanager.com/gtag/js?id=G-XXXXXXX"></script>
<script>
window.dataLayer = window.dataLayer || [];
function gtag(){ dataLayer.push(arguments); }
// 初期状態:Cookie拒否
gtag('consent', 'default', {
ad_storage: 'denied',
analytics_storage: 'denied'
});
gtag('js', new Date());
gtag('config', 'G-XXXXXXX'); // ご自身の計測IDに置き換えてください
</script>
<!-- 同意取得後に以下のように書き換え -->
<script>
gtag('consent', 'update', {
ad_storage: 'granted',
analytics_storage: 'granted'
});
</script>
Cookieバナーツールとの連携
Consent Modeは、主要なクッキーバナーツール(例:CookieYes、OneTrust)と連携することが可能です。
これにより、ユーザーがCookieバナーで同意または拒否を選択した結果に応じて、自動的に gtag('consent', 'update')
が実行され、Googleタグの動作が制御されます。
※各ツールの具体的な連携手順や設定方法については、別の記事で詳しく解説します。
Consent Modeを導入するメリット
1. プライバシー規制への対応
GDPRやePrivacyなどのCookie規制に対応しやすくなり、法的リスクを低減できます。
2. 同意していないユーザーの行動データも部分的に活用可能
Cookieバナーを表示してユーザーの同意を取得しているサイトでは、「同意がない場合はトラッキング禁止」という設定にしているケースが多く見られます。例えばGoogleアナリティクスのタグを、ユーザーが"アナリティクス用Cookieに同意"した場合にだけ読み込むようにしていると、同意しなかったユーザーの行動データはまったく取得できません。これにより、特にヨーロッパ圏などで同意率が低いサイトでは、実際の訪問者数に対して計測されるデータが大幅に少なくなり、アクセス解析の信頼性が著しく低下します。
Consent Modeを導入すれば、同意がない場合でも匿名のヒット情報を送信でき、Googleのモデリング補完により全体の傾向を分析可能になります。これにより「何も計測できない」という極端な状況を避け、最低限のデータを確保しつつプライバシーに配慮した運用が可能になります。
まとめ:Consent ModeはこれからのWeb運営に不可欠
Consent Modeは、ユーザーのプライバシーを尊重しながら、Googleアナリティクスや広告計測を最大限に活用するための新しいスタンダードです。特にCookie規制が厳しくなっている現在、Consent Modeを正しく導入しているかどうかが、デジタルマーケティングの成否を左右すると言っても過言ではありません。
対応がまだの場合は、早急に導入の検討を進めることをおすすめします。

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