
CSSを使ったWeb開発では、ブラウザごとのデフォルトスタイルの差異を吸収するために「CSSリセット」や「Normalize.css」を利用することが一般的です。しかし、これらのアプローチには目的や効果に違いがあります。本記事ではそれぞれの特徴と、どのように使い分けるべきかを具体的に解説します。
目次
CSSリセットとは?―すべてをフラットに初期化
CSSリセットは、ブラウザ独自のスタイルをすべて打ち消すことで、スタイルの差異をゼロベースに戻すアプローチです。
代表的なCSSリセット例
/* Eric Meyer's Reset CSS 2.0 */
html, body, div, span, applet, object, iframe,
h1, h2, h3, h4, h5, h6, p, blockquote, pre,
a, abbr, acronym, address, big, cite, code,
del, dfn, em, img, ins, kbd, q, s, samp,
small, strike, strong, sub, sup, tt, var,
b, u, i, center,
dl, dt, dd, ol, ul, li,
fieldset, form, label, legend,
table, caption, tbody, tfoot, thead, tr, th, td {
margin: 0;
padding: 0;
border: 0;
font-size: 100%;
font: inherit;
vertical-align: baseline;
}
このように、全要素のmargin
やpadding
、border
などを強制的に初期化します。
メリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
意図しない余白や装飾を完全に排除できる | すべてを指定し直す必要があり、開発の手間が増える |
レイアウトの意図をコントロールしやすい | アクセシビリティやユーザーエクスペリエンスが犠牲になる場合がある |
Normalize.cssとは?―整えることで差を吸収
Normalize.cssは、ブラウザのスタイルを無理に消さず、「整える」ことにより一貫性を保つモダンなアプローチです。
基本の使い方
https://necolas.github.io/normalize.css/ から最新版をダウンロードして、プロジェクトに読み込みます。
<link rel="stylesheet" href="normalize.css">
Normalize.cssは、以下のように意図的にスタイルを残すことで、一貫したレンダリングを実現しています。
/* Excerpt from normalize.css */
html {
line-height: 1.15; /* 1 */
-webkit-text-size-adjust: 100%; /* 2 */
}
body {
margin: 0;
}
メリット・デメリット
メリット | デメリット |
ブラウザ間の差を自然に吸収できる | 完全にフラットなスタートをしたい人には不向き |
デフォルトスタイルの恩恵(例:フォーム、テキストの可読性)を維持できる | 内容を理解して使う必要がある(内部で意図的な残しがあるため) |
使い分けの指針:プロジェクトに合わせて選ぼう
ケース | おすすめ |
ミニマルで1px単位まで自分でコントロールしたい | CSSリセット |
デフォルトの可読性やUIパーツの挙動を活かしたい | Normalize.css |
デザインシステムやフレームワークを導入している | Normalize.cssまたは不要(フレームワークが内包している場合あり) |
カスタムリセットの選択肢も
実務では、CSSリセットとNormalize.cssの“いいとこ取り”をした独自のリセットCSSを使うケースも増えています。
/* 例: 独自リセット */
*,
*::before,
*::after {
box-sizing: border-box;
margin: 0;
padding: 0;
}
body {
line-height: 1.6;
font-family: system-ui, sans-serif;
}
まとめ:プロジェクトの特性に応じた選択を
CSSリセットとNormalize.cssは、どちらが優れているというよりも目的と用途の違いを理解して使い分けることが重要です。
ゼロからデザインしたいならリセット、整ったスタートを切りたいならNormalize.css。さらに、プロジェクトに合わせて独自にカスタマイズする柔軟性も、現代のWeb開発には求められています。

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