見積もり単価はどう決める?工数×価値×戦略で考える価格設定のリアル

見積もりを作成する際、単に「時間×時給」で価格を決めていませんか?それだけでは競合に埋もれたり、自社の価値を正しく伝えられない可能性も。この記事では、「工数 × 価値 × 戦略」という3つの視点から、実践的で納得感のある単価設定の方法を解説します。なお、ここで紹介する内容はあくまでも弊社(株式会社コナックス)の考え方に基づくものであり、すべての案件や業種に当てはまるものではありません。特に、フリーランスでウェブ制作を始めたばかりの方にとっての参考になれば幸いです。
目次
工数ベースの価格設定:見積もりの土台となる基本ロジック
見積もりの出発点として最も基本的なのが「工数ベース」の価格設定です。ここでは、作業時間や人的リソースに着目して金額を算出します。
基本の計算式
工数(時間) × 単価(時給 or 日給) = ベース価格
たとえば以下のように計算できます。
例:
- デザイン作業:20時間
- コーディング作業:30時間
- 時給:5,000円
合計見積もり額:
(20 + 30) × 5,000 = 250,000円
この方式は客観性と説明のしやすさがある反面、「その金額で本当に利益が出るのか?」という視点が抜け落ちがちです。また、スキルや生産性が上がることで作業時間が短縮されても、その分見積もり金額が下がってしまい、スキルアップが正当に評価されにくいという課題もあります。
価値ベースの価格設定:成果や便益にフォーカスする視点
工数だけでなく、「提供する価値」を基準に価格を見積もる方法もあります。特に以下のようなケースでは、価値ベースの方が適しています。
- 成果物が売上向上・業務改善に直結している
- 工数が少なくても高い専門性や経験が必要
- クライアントが「成果」に重点を置いている
価値ベース価格の算出例
例:ECサイトのCVR改善
- 現状の月商:1,000万円
- 改善による売上増:+10%(=100万円/月)
- 継続効果:6ヶ月
- クライアントにとっての価値:100万円 × 6 = 600万円
→ この施策に100万円を支払う価値があるかどうか?が判断基準
このアプローチでは、工数が少なくても高単価を実現できる可能性があります。
戦略ベースの価格設定:目的に応じた価格の使い分け
弊社ではビジネス戦略に基づいて価格設定を調整させていただくことがございます。
よくある戦略と価格例
戦略 | 目的 | 価格の考え方 |
---|---|---|
ローエントリー戦略 | 新規取引を増やしたい | 通常より低価格で受注し、関係構築を優先 |
ポートフォリオ戦略 | 実績を増やしたい | 特定分野では利益度外視で実績を優先 |
価格設定はただの「数字」ではなく、「戦略の一部」として活用できます。また、納期や作業範囲の不確実性、クライアント体制の整備状況など、プロジェクトに伴うリスクも加味して価格を調整することがあります。リスクが高い案件では、その分対応コストやバッファも必要になるため、価格に反映させるのが弊社の方針です。
まとめ:単価設定は「工数×価値×戦略」のバランスで決めよう(決めています)
単価設定は、単なる作業時間に報酬を掛けるだけではなく、「クライアントにとっての価値」や「自社のビジネス戦略」まで含めて考えるべき重要な判断です。
- 工数ベース:説明しやすく見積もりのベースとして優秀
- 価値ベース:専門性や成果を適正に評価
- 戦略ベース:目的によって柔軟に価格を調整
この3つの視点を掛け合わせることで、納得感と説得力のある価格設定が実現します。価格は交渉の材料であり、信頼構築の武器にもなり得るのです。
※本記事は弊社独自の見解を交えており、業界全体の標準とは異なる場合があります。ご理解の上、ご参考いただけますと幸いです。

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