見えない人にも伝えるWebをつくる:アクセシビリティ対応チェックリスト10選

Webは誰にとっても使いやすくあるべきですが、視覚に障害のある方にとっては、見た目だけで情報が伝わらないことも多くあります。今回は「見えない人にも伝える」ことをテーマに、視覚障害者に配慮したWeb制作のためのアクセシビリティ対応チェックリストを10項目に絞ってご紹介します。

1. alt属性を正しく書く

画像に代替テキスト(alt属性)を設定することで、画面読み上げソフトが画像の内容を音声で伝えることができます。
装飾目的の画像には空のalt(alt="")を設定しましょう。

例:

<img src="product.jpg" alt="赤いTシャツ(フロントデザイン)">
<img src="decoration.png" alt="">

2. ラベルとフォームを正しく関連付ける

フォームのラベル(<label>)は視覚的に表示されているだけでなく、スクリーンリーダーにも正しく認識される必要があります。

例:

<label for="email">メールアドレス</label>
<input type="email" id="email" name="email">

3. 見出しタグ(h1〜h6)の構造を論理的に

見出しタグはページ構造を表すためのものです。デザインではなく意味の構造に基づいて使用し、h1→h2→h3…と論理的に階層化しましょう。

NG例:

<h1>会社概要</h1>
<h4>社長挨拶</h4> <!-- 意味的に不適切 -->

OK例:

<h1>会社概要</h1>
<h2>社長挨拶</h2>

4. リンクテキストは文脈から意味が分かるように

「こちら」「詳しくはこちら」などは避け、リンク先の内容を具体的に記述します。

NG例:

<a href="/download">こちら</a>

OK例:

<a href="/download">パンフレットをダウンロードする</a>

5. コントラスト比に注意する

背景色と文字色のコントラスト比が低いと、弱視の方にとっては読みにくくなります。
WCAG 2.1では、通常のテキストに対して4.5:1以上のコントラスト比が推奨されています。

チェックツール例:


6. キーボード操作に対応する

マウスが使えないユーザーのために、Tabキーで全ての操作が行えるようにしましょう。特にカスタムUI要素(ドロップダウンやモーダルなど)は要注意です。

ポイント:

  • tabindex 属性の適切な使用
  • Enter/Spaceで操作可能にする

7. ランドマークを明示する(role属性)

スクリーンリーダー利用者はランドマークを頼りにナビゲーションします。<header> <nav> <main> <footer> などのHTML5タグか、role="banner" などの属性で領域を明示しましょう。


8. 動画や音声にはテキスト情報を添える

動画にはキャプション(字幕)や文字起こし、音声コンテンツにはスクリプト(原稿)を提供することで、視覚障害・聴覚障害の両方に配慮できます。

例:

<video controls>
  <source src="sample.mp4" type="video/mp4">
  <track kind="subtitles" src="captions.vtt" srclang="ja" label="日本語">
</video>

9. フォーカスの見た目を消さない

CSSで outline: none; を指定すると、キーボード操作時のフォーカスが見えなくなってしまいます。デザイン調整をする際もフォーカスリングは残すように工夫しましょう。

改善例:

button:focus {
    outline: 2px solid #005fcc;
}

10. aria属性の使いすぎに注意

aria-* 属性は便利ですが、使いすぎると逆に読み上げの混乱を招くこともあります。まずはHTMLの意味要素を正しく使い、それでも補足が必要な場合に限って aria-labelaria-hidden を使用しましょう。


まとめ:アクセシブルなWebはすべての人にやさしい

視覚障害のある方だけでなく、高齢者や一時的にデバイス操作が制限されたユーザーにとっても、アクセシブルなWebは大きな助けになります。
今回ご紹介した10のチェックリストは、ほんの入り口にすぎません。Web制作者として、常に「誰にでも伝わるWeb」を意識しながらデザイン・コーディングを進めていきましょう。

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