WordPressの進化と今後:FSE(フルサイト編集)とブロックテーマの現状と課題

WordPressは長年にわたり進化を続け、現在では「FSE(フルサイト編集)」を軸とした新しいテーマ構造「ブロックテーマ」へと大きな転換を遂げています。この記事では、従来のテーマとブロックテーマの違いや、FSEの現状と課題、そして今後の展望について、実例とともにわかりやすく解説します。

従来のテーマとブロックテーマの違い

WordPressのテーマは長らく「PHPテンプレート + functions.php」という構成で運用されてきましたが、ブロックテーマでは以下のような構造的変化が起きています。

旧来のテーマ構成例

my-theme/
├── header.php
├── footer.php
├── index.php
├── functions.php
└── style.css

ブロックテーマの構成例

my-block-theme/
├── theme.json
├── templates/
│   └── index.html
├── parts/
│   ├── header.html
│   └── footer.html
└── styles/
    └── style.css
  • theme.json による設定管理
  • テンプレート(*.html)はブロックエディタで編集可能
  • PHPファイルの役割が限定的に

これにより、ノーコードでのデザイン編集や再利用性の高い構築が可能になりました。


FSE(フルサイト編集)の実現と現状

FSEとは「Full Site Editing」の略で、サイト全体(ヘッダー・フッター含む)をGutenbergブロックで構成し、管理画面から編集できる新機能です。

できることの例

  • ヘッダーやフッターをエディタで編集
  • グローバルスタイル(配色・フォント)の設定変更
  • カスタムテンプレートの作成

実装手順の一例

  1. theme.json を作成し、デザイン設定を記述
  2. templates/index.html などを配置し、ブロックを記述
  3. WordPress管理画面の「外観」>「エディター」で編集

現在の制限事項

  • 旧プラグインとの互換性問題(例:カスタムフィールドの扱い)
  • HTMLエクスポートの不便さ
  • 複雑な構成に対する再現性の低さ(特にカスタム投稿タイプのテンプレート)

ブロックテーマ普及の課題

FSEとブロックテーマの登場により、開発者・ユーザーともにメリットは多いですが、現場では以下のような課題が残っています。

課題1:従来テーマとの互換性

  • 既存のPHPテンプレート資産が再利用しにくい
  • functions.php のフックやフィルターが活かしづらい

課題2:クライアントワークとの相性

  • クライアントがブロックを意図せず削除してしまう危険性
  • 保守性・安全性を担保するには「カスタムブロック」や「パターンロック」が必要

課題3:開発フローの再設計

  • ブロックテンプレートはGit管理しにくい
  • theme.json の設定が煩雑で学習コストが高い

今後の展望:WordPressはどこへ向かうのか

FSEとブロックテーマは「ノーコードCMS」としての可能性を押し広げる一方で、「開発者主導の柔軟な拡張」という側面とバランスを取る必要があります。

期待される今後の機能強化

  • より強力な「ロール管理」や「編集制限」の追加
  • ブロックロックの標準化
  • 高度な条件分岐に対応するブロックテンプレート

ハイブリッドアプローチの可能性

現実的には、完全なブロックテーマではなく、FSE + 従来テンプレートの併用というハイブリッドなテーマ構築が主流となる可能性が高いです。


まとめ:WordPressの進化と付き合うために

WordPressは今、大きな変革期を迎えています。FSEとブロックテーマは、柔軟性とユーザビリティの両立を目指した革新的な機能です。しかし現状では「すべてを置き換える」にはまだ課題も多く、従来のテーマ構築とのバランスを意識することが求められます。今後の進化を見据えつつ、プロジェクトに最適なテーマ構成を選択していきましょう。

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