WordPressのマルチサイト機能とは？導入手順と注意点

マルチサイト機能とは？

マルチサイト機能は、WordPressの標準機能の一つで、1つのWordPressインストールから複数のWebサイトを一元管理できる仕組みです。サブドメイン型（site1.example.com）とサブディレクトリ型（example.com/site1）の2つの構成方法があります。

マルチサイトの活用例

• 複数店舗の公式サイトを統一管理（例：store1.example.com、store2.example.com）
• 多言語サイトを分けて運用（例：example.com/en、example.com/ja）
• 会員制サイトのグループ展開（例：member1.example.com など）

導入手順

1. wp-config.php の編集

以下の1行を wp-config.php に追記します（/* 編集が必要なのはここまでです ! */ の直前に記述）。

define('WP_ALLOW_MULTISITE', true);

2. ネットワークのインストール

WordPressの管理画面「ツール > ネットワークの設置」から、サブドメイン型かサブディレクトリ型かを選択し、マルチサイトを有効化します。

3. 再度 wp-config.php と .htaccess を編集

インストール後に表示されるコードを wp-config.php と .htaccess に追記します。

wp-config.php（追加例）

define('MULTISITE', true);
define('SUBDOMAIN_INSTALL', true); // または false
define('DOMAIN_CURRENT_SITE', 'example.com');
define('PATH_CURRENT_SITE', '/');
define('SITE_ID_CURRENT_SITE', 1);
define('BLOG_ID_CURRENT_SITE', 1);

.htaccess（置き換え例）

RewriteEngine On
RewriteBase /
RewriteRule ^index\.php$ - [L]

# add a trailing slash to /wp-admin
RewriteRule ^wp-admin$ wp-admin/ [R=301,L]

RewriteCond %{REQUEST_FILENAME} -f [OR]
RewriteCond %{REQUEST_FILENAME} -d
RewriteRule ^ - [L]
RewriteRule . index.php [L]

4. サイトの追加と管理

「サイトネットワーク管理者 > サイト > 新規追加」から、新しいサイトを追加できます。各サイトは独立したテーマ・プラグインを利用可能ですが、インストール・更新はネットワーク管理者のみが行います。

注意点とデメリット

1. サーバー設定が必要な場合がある

サブドメイン型を選択する場合、ワイルドカードサブドメイン（*.example.com）のDNS設定が必要です。

2. プラグイン・テーマの動作確認

一部のプラグインやテーマはマルチサイトに対応していない場合があるため、事前の検証が必須です。

3. 権限管理が複雑になることも

ネットワーク管理者と各サイトの管理者で権限の分離が必要になるため、運用設計を事前に考えておく必要があります。

4. 通常のWordPressよりもデータベース構造が複雑

サイトごとにテーブルが増えるため、バックアップやメンテナンス時には注意が必要です。

まとめ：一元管理に最適だが導入には計画を

WordPressのマルチサイト機能は、複数サイトを一元的に管理したいケースに非常に便利です。ただし、導入には事前準備や設定、運用ルールの整備が必要不可欠です。また、DNS設定やApache/Nginxのリライトルールなど、サーバーやネットワークに関する知識が求められる場面もあります。用途とスケールに応じて導入を検討し、事前の検証やテストをしっかり行いましょう。