WordPressの開発で頻繁に登場する「フック」は、プラグインやテーマを拡張・カスタマイズするうえで欠かせない仕組みです。この記事では、WordPressの2大フック「アクションフック」と「フィルターフック」の違いと、それぞれの使いどころを具体的なコード例とともに解説します。
目次
フックとは？WordPressの拡張ポイント
WordPressの「フック（Hook）」とは、WordPress本体やテーマ、プラグインの処理に対して、開発者が独自の処理を差し込める“タイミング”のことです。
主に以下の2種類に分けられます：
- アクションフック（Action Hook）：処理の実行タイミングを拡張
- フィルターフック（Filter Hook）：データの加工や出力内容の変更
フックを使うことで、WordPress本体のコードを直接編集することなく、機能の追加やカスタマイズが可能になります。
アクションフックとは？実行タイミングで処理を追加
アクションフックは、指定されたタイミングで特定の処理を追加するときに使用します。主に何かを「実行する」用途に使われます。
基本構文
add_action('フック名', '実行する関数名');例：wp_headフックでheadタグにコードを追加
function add_custom_meta_tag() {
echo '<meta name="author" content="YourName">';
}
add_action('wp_head', 'add_custom_meta_tag');この例では、<head>タグ内にカスタムのメタタグが追加されます。
フィルターフックとは？データの加工・変更に使用
フィルターフックは、ある値に対して処理を加えて別の値を返すときに使用します。主に表示内容の加工に使います。
基本構文
add_filter('フック名', '加工する関数名');例：the_contentフィルターで記事末尾に追記
function add_custom_footer_text($content) {
if (is_single()) {
$content .= '<p class="custom-footer">この記事を読んでいただきありがとうございます！</p>';
}
return $content;
}
add_filter('the_content', 'add_custom_footer_text');この例では、投稿ページの本文の末尾に任意の文章を追加しています。
アクションとフィルターの違いと使い分け
| 項目 | アクションフック | フィルターフック |
|---|---|---|
| 目的 | 処理を追加する | データを加工する |
| 戻り値 | 不要 | 必要（加工後の値を返す） |
| 使用例 | headタグにタグ追加、カスタム投稿登録など | 投稿タイトルや本文の変更、出力の整形など |
- 「処理を追加」したい →
add_action() - 「値を加工」したい →
add_filter()
と覚えると分かりやすいです。
よく使われる代表的なフック一覧
よく使うアクションフック
// WordPressの初期化時に処理を追加する（カスタム投稿タイプの登録などによく使う）
add_action('init', 'my_init_function');
// CSSやJSファイルを読み込むタイミングで使う（enqueue処理に必須）
add_action('wp_enqueue_scripts', 'enqueue_my_scripts');
// テーマセットアップ時（サポート機能追加など）
add_action('after_setup_theme', 'theme_setup_function');
// 管理画面の読み込み時（管理画面用CSS/JS読み込みなど）
add_action('admin_enqueue_scripts', 'enqueue_admin_assets');
// 投稿保存時のフック（カスタムフィールドの自動保存などに）
add_action('save_post', 'my_save_post_handler');
// ユーザーログイン直後の処理（リダイレクトなど）
add_action('wp_login', 'on_user_login', 10, 2);よく使うフィルターフック
// 投稿タイトルを加工（例：「[重要]」を付ける）
add_filter('the_title', 'customize_title');
// 抜粋の長さを変更（デフォルトは55語）
add_filter('excerpt_length', 'change_excerpt_length');
// アップロードできるMIMEタイプを追加（SVG画像など）
add_filter('upload_mimes', 'add_custom_mime_types');
// ユーザー名の表示方法をカスタマイズ（ニックネーム表示など）
add_filter('the_author', 'customize_author_display');
// ログインエラーメッセージの変更（セキュリティ対策）
add_filter('login_errors', 'customize_login_error_message');
// WooCommerceの価格表示をカスタマイズ（税抜/税込切替など）
add_filter('woocommerce_get_price_html', 'custom_price_display');どのフックが使えるかは、WordPress CodexやHook Listなどで確認するのがおすすめです。
まとめ：アクションとフィルターを理解して開発に活かそう
WordPressのフックは、柔軟にカスタマイズを実現するための最重要要素です。アクションフックとフィルターフックの違いを理解して使い分けることで、より堅牢で拡張性の高いテーマやプラグインを開発できます。
特に、add_action()は処理の追加、add_filter()は値の加工と覚えることで、迷わず使えるようになります。この記事を参考に、実際の開発で積極的にフックを活用してみてください。
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